今まで何の目的があって台湾の男性を撮影するプロジェクト「台湾男子」を始めたのか、その理由について語ることはありませんでした。さほど深い理由ではないかもしれませんが、撮影に協力してもらった彼らのために伝えておこうと思います。
なぜ着衣での撮影しかないのか
ゲイが男性を撮影するとなると「なぜ脱いだ写真がないのか」と質問されます。商業目的で撮影しているわけではないので、採算をとる必要がないというのが第一の理由です。あえて脱がないのは日常風景を見せるためです。体を作りこんでみんなに見てもらうことは努力の成果でもあるため、彼らのうち何人かはそれを望んでいるのかもしれませんが、日常とは何かを隠しながらもその範囲の中で楽しんでいる時間だと自分は考えています。
更に自分のスタイルに自信があるかというより、絶対に脱ぎたくないという人はいます。脱がなければならないという圧力を感じさせたくないため、必要以上に肌を露出した写真は控えることに決めました。「男なら脱ぐぐらい恥ずかしがるな」という考えを無くしていきたいという思いもあり、みんなが同じフィールドで撮影できるようルールを決めました。
写真を通じて伝えたいこと
被写体となる彼らのセクシュアリティはあえて公開していません。台湾男子ではゲイなのかストレートなのか、もしくは違うセクシュアリティなのかを明確にする必要がないからです。見る人によって捉え方が異なる「台湾男子」というイメージを身に纏うことで、見る側はフィルターを通して彼らを想像することになり、ゲイが見れば彼はゲイであると思うかもしれないし、ストレートの女性が見ればどんな女性が好きなんだろうと考えるかもしれません。そんな「プロフィールの空白」を作ることは、ゲイという未だ社会的インパクトが大きいセクシュアリティの者が撮影するとなったときに必要だと感じました。ゲイが撮影した男性はみんなゲイなんだ、そんな前提条件は必要でしょうか。
「みんなこういうのが好きなんだろ?」
そんな風に言われているような写真が昔から好きになれませんでした。昔から好きな芸能人が少なく、街でカッコいい男性を見つけた瞬間の方がよほど鼓動が高鳴ると感じていたので、こういう写真を撮ってみたいんだけれどという思いを友人に相談したところ、順調に事がうまく進み、台湾で台湾男性を撮影する企画が実現しました。
個人の好みで人を選び、撮影しているため、いろんな意見があるとは思いますが、ぜひ「台湾男子」としての彼らをご覧になって、存分に想像してみてください。