台湾飲食業界の現実


次々と日本企業が台湾の飲食業界に進出していますが、実際はどれくらいの店が成功しているのでしょうか。飲食店を経営している日本人の方の声を交えて現状をお話しします。

台湾で飲食店を始めるために必要なことについて

飲食業界は好調なのか?

たくさんの飲食店が開店しているものの、長続きせず、早くて2カ月ほどで閉店になります。カフェがだめならカレーに、カレーがだめならラーメンに…次々とメニューを変えても、焼け石に水です。特にラーメン店が多過ぎて、過剰供給です。開店当初は物珍しさで来る人は多いのですが、1ヶ月のうちに固定ファンをつかめないと、他店に流れてしまいます。このように変化がめまぐるしいため、飲食業界が好調のように見えてきますが、現実は一進一退です。

相場はどのくらいが適切なのか?

20代30代の男性で食事のために、朝50元(180円)昼80元(280円)夜120元(420円)、一日当たり250元(880円)前後を目安にしています。それよりも20元(70円)近く高いだけでも、高すぎると感じるようです。
時々贅沢したいと考える時は、ブランチと呼ばれるハンバーガーやサンドイッチなどのセットメニューで1食250~400元ほど消費します。お祝い事などの特別な日は1000元以上になります。
これがいわゆる「庶民感覚」で、この限られた予算に見合うコストパフォーマンスを提供できなければ、飲食店として続けることは厳しいと思われます。台湾では必ずしも「売れる=うまい」という訳ではありません。ボリュームや見た目のインパクトなど分かりやすいお得感が必要です。

どんな日本食が人気なのか?

日本料理は全般的に人気がありますが、ラーメンやカレーが不動の人気です。うどんは既になじみ深く、蕎麦は不評です。お好み焼きやたこ焼きなどは夜市にもありますが、かなりアレンジされて浸透しているため、日本本来の物は受け入れられないようです。寿司は「爭鮮」という名の格安店、中ランクとして「くら寿司」が人気で、競争は激しいのですが、もともと良い海鮮系のネタが手に入りにくいので、品質は総合的によくありません

人気店のメソッドとは

  • 並ぶことが好きなので、並ばせる店をつくる事
  • メニューのバリエーションの多さ
  • インスタ映え
  • 表通りに面した店舗
  • 分かりやすい看板
  • 長居できる環境
  • ブログ広告を出している

宣伝の手段は?

飲食店に関してはブログ一択です。検索してブログに掲載されていないと、悪い店と判断されます。そのため、起爆剤として最低でも1回ブログに掲載依頼を出す必要があります。
ブログに広告を出す場合は、ブログ仲介業者に依頼します。1回3万円以上が相場で、発注すると、仲介業者が適切なブロガーを選んで、取材に来ます。何を売りたいのか、何をブログに掲載したほうが閲覧数が上がるのか、どういうストーリーで紹介するのか、などすべて打ち合わせたうえで、写真を撮り、記事を書いてもらいます。ブロガー側も閲覧数が欲しいので、店主の思い通りの記事になるとはかぎりません。一度掲載されると、1ヶ月近く客が押し寄せるはずです。ここで心をつかまないと、3ヶ月経てば元通りです。