台湾のデパートに出店するなら覚悟が必要

日本のものを台湾で売りたいので、まずはデパートに出店してみたいと考えている方は多いのではないでしょうか。デパートに出店したことがある方から聞いた話をご紹介します。

台湾のデパート

SOGO(そごう)

一番売り上げが多いのは台北忠孝店ではないでしょうか。なんといっても立地が最高です。まめに日本物産展を実施していて、日系デパートであることを強調しています。

三越(みつこし)

台中の新光三越がかなりの売り上げを誇っているそうです。確かに一等地にあの大きなデパートは相当な売り上げがないと維持できません。日本の高級品は何でもそろいます。

大遠百(ダーユェンバイ)

台湾の百貨店です。どの店舗もさほど流行っている印象がないのですが、なぜか各都市にあります。噂では社長が大きな財閥に関係していて、資金面で困ることがないようです。

誰でもデパートに出店できるわけではない

お金さえあれば何とかなるというわけではないのがデパートの世界です。デパートが持つ集客力は大きいので、たくさんの企業が出店したいと思っているものの、やはり全然売り上げが出せない店舗も出てきます。デパート側も人気が出るブランドに来てほしいと思っているため、仲介業者に出店者を集める依頼をしています。よほどの有名店でないかぎり仲介業者を介さないと出店はできないということです。この辺りは日本のデパートとあまり変わらないと思います。
「台湾のデパートに出店してみたいな」と思ったら、まず紹介してくれる業者を探すことから始めてください。

強気の値段で勝負できる商材が必要

人件費

人件費が何よりコストがかかります。台湾のデパートに定休日はなく、朝10時くらいから夜の10時近くまで開いていますので、1日12時間近くお店に人を入れる必要があります。さらに台湾の法律でアルバイトに対して土日祝は時給を2倍にする必要があります。そして現地のスタッフと会話するために日本語ができる台湾人を雇うとなると時給がグンと上がります。
デパートでは長時間スタッフがいない状態にすることができないため、常に2人以上待機させておきます。1人が遅刻したり体調不良になったとしても、なんとか営業できます。このような「もしも」の事態を想定すると、余計な人件費が発生してしまうのです。

デパート側の手数料

だいたいの相場としては売り上げの3割近くをデパートに取られることになり、さらに光熱費も請求されます。契約時に最低売り上げ金額の設定が求められ、それより売り上げが少ないと罰金という形で徴収されます。「テナント代=売り上げの〇%」なので、契約している限りは一定以上の売り上げがないと「このデパートにはふさわしくない店舗」ということになります。
気にかけるべき点はこれだけではありません。台湾のデパートでは罰金制度が非常に厳しく、商品の一部が通路にはみ出てしまったり、スタッフが朝礼に遅れる、お客さんに間違った情報を教えるなどの問題を起こすたびにデパートから罰金を取られます。その時には注意されず、知らない間に罰金が増え、とんでもない金額を請求されるということもあります。

配送トラブルによる大損害

意外とよく聞くのが配送トラブルです。食品を日本から台湾に送る場合、冷凍や冷蔵のコンテナを用意する必要がありますが、温度管理がずさんな業者にあたると、食品の鮮度が落ち、店に出せるような状態ではなく、急遽別ルートで用意しなければならないので、余計な経費が掛かります。食品ではなくても、運び方が雑で壊れてしまうということもあります。商品が用意できず棚が空の状態になると、デパートから罰金を請求されます。日本では起こりえないトラブルを想定して、何かあった時のための人脈や資金を事前に用意しておくのも、必須と言えます。

言った言わないのトラブル

これは日本でも少なからずあるはずです。台湾では特に重要なことでもLINEや電話で済ませることが多いので、「あの時言ったはず」「LINEの履歴が消えたので知らない」というトラブルが絶えません。お金や法律に関わることは必ず契約書を交わすようにしてください。先に契約書なしに進めてから、あとで契約を交わしましょうという場面も多いですが、根気よく仲介の方と交渉しましょう。

まとめ

出店側にやる気や資金があっても、デパートの運営側が消極的な場合もあり、根気よく文化の差異を理解しつつ交渉を進めていく必要があります。結局お金で解決していかないといけない場面が多々出てくるので、デパートでの出店は広告代わりと割り切り、別チャンネルでの販売を進める方が長続きするかもしれません。